2017年10月11日水曜日

「定年後」


アマゾンの中公新書ランキング1位、楠木新さんの「定年後  50歳からの生き方、終わりかた」。名著です。感銘を受けました。

時代の流れなのか、それこそ雨後の筍のように次々と発刊される「定年」 関係の書籍の中でも、ピカイチのていねいな調査、思索、検討をへて生み出されたと思われる本書。

前半の3章では定年を迎えた主に男性の状況について、幅広い調査をもとに描いている。まだ定年には数年の間がある自分が読んでも、非常に納得できる内容。うん、そうだろうなあとしんみりと思う。

4章は「黄金の15年を輝かせるために」。著者は60歳から74歳までを黄金の15年としている。身体もまだ元気、体力もあり、知識も経験もある。この黄金の15年を活かさない手は無いと。

そうだなあ、確かに、自分などゴロゴロしてすぐ1、2年を過ごしてしまいそうだし。意図的にでも、そうやって自分を鼓舞していかないと。

そして5章は「社会とどうつながるか」、6章は「居場所を探す」。本書でいちばん実用的であり、また身につまされる箇所でもあり。このふたつが自分でもとても心配。奥さんたちのように地域に根ざしてコツコツと社会との繋がりや居場所を確保してきた人たちと違い、男たちは概してこのふたつがでつまづくそう。ここは本当に今からよく考えておかないとという気にさせる。実践的に役立つ情報や提案もたくさん記載されている。この2章だけでも本書を購入した価値を感じた。

そして最終章、「死から逆算して見る」。思わずドッキリ。胸がぎゅうっとしめつけられるようだった。まだ定年も先のこととはいえ、やはりそれなりの実感を得て受け止められる年齢になったということだろう。

さて、著者の計算によると、60定年以降の自由な時間は、なんと8万時間。平均的な勤め人の定年までの総労働時間より長いとのこと。この時間を生かすも殺すも、それこそ自分次第。

様々なことを整理してうけとめ、素直に来し方を考える気になる良書だと思う。


0 件のコメント:

コメントを投稿